Schumann Arabeske(2005.5.22の日記・トラックバックを編集しました。)ふゆのほしさんに刺激をうけまして、自分が持っているCDで アラベスクを聴いてみました。みんな大好きです。 ★マウリツィオ・ポリーニが弾く「アラベスク」 演奏タイム:6分23秒 心地よいテンポ感で軽やかな演奏。 MinoreIでは、ちょっと醒めた様子で淡々と表現している。 全体を通じてメロディラインはやわらき音色で、平穏な雰囲気を醸しだしている。 (1983年の録音、同じCDには、シューマンのシンフォニックエチュードOp.13が 入っている。) ★マリア・ジョアン・ピリスが弾く「アラベスク」 演奏タイム:7分06秒 ぼんやりとした光が差し込んできたような演奏。 それはアラベスク(唐草模様)のイメージのようにも聴こえてきます。 MinoreIでは、ちょっと控えめですが情熱的に、感情を出したり引っ込めたりという印象。 (1994年の録音、同じCDには、シューマンの森の情景Op.82、3つのロマンスOp.28,ウィーンの謝肉祭の道化Op.26が入っている。) ★伊藤恵が弾く「アラベスク」 演奏タイム:6分54秒 快活で明るさを感じる演奏。メロディラインがくっきりと浮かび上がってきます。 MinoreIで特に感じたが、ベースラインがしっかりしていて、その上に旋律が きれいに乗っているというのがわかります。 全体を通してゆっくりでのびやかな演奏。 (1994年に発売された伊藤恵「ピアノ通信」という小品集を集めたCDの1曲目、 その他の曲目は、ショパン幻想即興曲、ドビュッシー月の光、スクリャービン エチュードOp.42-5、ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌなど) ★ケンプが弾く「アラベスク」 演奏タイム:6分01秒 自然な流れにまかせていて清潔感のあふれる演奏。 教科書的な感じもするが、テンポは一定で、メロディ、強弱がはっきりしていて 聴きやすい。 (1951年11月の録音、20世紀のGreatPIANISTシリーズの中に1枚でその他は ブラームスOp.116,117,118,119, シューマン クライスレリアーナなどがほかに収録) ********************** (ふゆのほしさんのページから引用させていただきました。) ■アンドラーシュ・シフが弾く「アラベスク」 演奏タイム:5分54秒 主題部:主題は「軽く優しく」の部分。シフは実に軽くさらっと弾き流している。主題の展開部のritもそれほどテンポの揺れはみられず、あっさり気味 Minore I:テンポ的には主題とそれほど変わらず。表現はかなり豊かなうえに後半の盛り上がり部はテンポ的にもかなりエキサイティング、情熱的ともいえる。 Ruhiger:静かだが旋律が際だつ。テンポ的にもそれほどもたれ気味になっていない。 (再び主題登場) Minore II:旋律際だち、中声、下声は割と流れ気味に弾いている。途中、長調的な展開部ではかなりアップテンポに。 (再び主題登場) Coda:Lento部分であるが、割とあっさり気味に。しかし最後4小節のritはたっぷりとゆっくり。 ■ウラディミール・ホロヴィッツが弾く「アラベスク」 演奏タイム:6分38秒 主題部:ホロヴィッツは上声つまり主旋律と下声(バス)の進行を際だたせ、中声の分散進行は割と控えめに弾いている。軽く、それでいて優しさがにじみでている演奏だ。 Minore I:楽譜の指定どおりテンポをやや遅く、そしてあくまでも演奏は穏やかで。しかしながら起伏はかなりある方だ。といっても盛り上がり箇所でも急激にテンポを変えることなく強弱のみでメリハリを出している。 Ruhiger:ここでグッとテンポを落として1音1音丁寧に奏でている (再び主題登場)冒頭の主題よりややあっさり気味に流しているうえ、中声の分散進行の流れも耳に残る。 Minore II:楽譜の指定どおりテンポはやや遅め。バスの進行、及び中声の付点音符進行はペダルでにじむことなく割とくっきり。長調的進行部分はやはりテンポがアップしたりも(シフほどではないが)。 (再び主題登場) Coda:Lento部分は全体的にじっくりゆっくり。最後4小節のritも事実上は最後3小節途中から更にゆっくり。 ■舘野泉が弾く「アラベスク」 演奏タイム:7分13秒 主題部:舘野氏の主題部は上・中・下声それぞれが割と自己主張をしているようにも思えるが、それでも上声の旋律は綺麗に響いている。他の演奏家より全体的なテンポはゆっくり目。 Minore I:テンポはここでぐっと落ちる。楽譜には細かなクレッシェンドとデクレッシェンドが記載されているが、特にMinore Iの前半はオーバーに表現することなく、割と平坦な感じである。フォルテもフォルテシモもそれほど圧迫感がなく、穏やかにそれでいて厚みを感じるフォルテ表現だ。 Ruhiger:更にテンポはゆっくり。1音1音を確実に奏でる弾き方が印象的。 (再び主題登場) Minore II:他の演奏家はここでかなり曲の性格を変えてくるのだが、舘野氏はキリリとしたなかにとても穏やかな味を出している。中声・下声の進行は流れるように叙情的に弾いているのが印象に残る。 (再び主題登場) Coda:主題からCodaへ進むその「間」が長め。各所のritも実にたっぷりとため気味。 ■仲道郁代が弾く「アラベスク」 演奏タイム:5分58秒 主題部:4者のなかでは主題部におけるテンポの揺れはかなり多い方ではないだろうか。弾き方はあっさりだがテンポ的には叙情的といった感じである。16小節目の左手10度和音はアルペジオで対処しているようだ。 Minore I:主題部からほとんどテンポ変化は無し。主題に引き続き、あっさり感を特に感じさせたのは左手アルペジオ指定されている箇所を何故かアルペジオではなく和音で弾いている点だろうか。極端な起伏は無し。 Ruhiger:弾き方によってはだらけがちなこの場所を実にサラッと弾き流している感じ。 (再び主題登場) Minore II:主題より更にテンポはアップ気味。実に独自の解釈で演奏され、ここも流れるような弾き方が特徴。 (再び主題登場) Coda:このアラベスクのなかでは最も穏やかで静かな部分であったが、決して粘っこくはなくサラリと終曲であった。 |